瀬戸内海の不思議な生きた化石~カブトガニ~
謎多きカブトガニの生息地
カブトガニは2億年前に誕生し、ほとんど姿を変えずに現在も瀬戸内海や北九州沿岸に生息しています。
山口県や岡山県、愛媛県、福岡県のものが有名です。
では、カブトガニはどんな生物なのでしょうか
カブトガニは、世界で2属4種に分かれています。
そして、カブトガニは分布によって大きく3つのグループに分けられます。
1つ目のグループは、北アメリカ大陸の東海岸に住んでいるアメリカカブトガニです。北はカナダとアメリカの国境付近まで、南はメキシコ湾付近にわたって広く分布しています。このカブトガニは体が大きく、尾剣が短いのが特徴です。
2つ目のグループは、日本や台湾、南シナ海方面に住んでいるカブトガニです。体の均整がよいと言われています。イケメンなのですね。
3つ目のグループは、南方に住んでいるミナミカブトガニとマルオカブトガニです。体は小さく、尾剣が円柱の形をしています。これらのカブトガニはほかに比べると、早く親になるようです。
しかし、ここに大きな謎が生まれます。
現在カブトガニが住んでいる場所ではカブトガニの化石が発見されておらず、カブトガニが住んでいないヨーロッパのイギリスやドイツで多くの化石が残っています。
ヨーロッパからいつ、どのようにして移動してきたのかは大きな謎になっています。
日本では前述の通り、瀬戸内海や北九州沿岸の一部に住んでいます。
しかしながら、現在はその数を減らし、絶滅危惧種となっています。
原因は、カブトガニの生息地が埋め立てられたためです。
現在、カブトガニが生息している干潟などは、天然記念物として保護されているところが多くあります。
カブトガニの生態
カブトガニは、1年を通して干潟などで生活しているわけではありません。カブトガニは、水温が18℃以上になる6月~9月に活動します。
残りの期間は、海水温の低下とともに沖合の少し深いところにもぐって、餌も食べずに冬眠しています。
カブトガニは、原則として海中の生きたものを食べ、死んだものは食べません。
眼があまりよくないので、餌を探し出すこともせず、海底を動き回って胸脚に引っかかったものを食べます。
1~2歳の幼生は、主としてプランクトンや微生物などを、3歳以上になるとゴカイなどの環形動物を好んで食べています。
ほかにも、アサリなどの貝類やウニ、アオサなどの海藻も食べます。
カブトガニはなんの仲間?
カブトガニと聞いてイメージするのは、上のイラストのようなものだと思います。
しかし、意外と動いているところや裏側を見たことがある人は少ないのではないでしょうか?
カブトガニは、硬いコウラを身にまとい、のそのそと這うように動くように見えるカブトガニ。
しかしながら、カブトガニの歩いている姿をよく観察すると、
その動きは「カニ」そっくりです。
大きな脚でしっかり歩いています。
カブトガニは赤く立派な脚を持っていて、一歩ずつどっしりと歩いています。
動きや形は「カニ」や「ヤドカリ」に似ていますが、
実はカブトガニは「クモ」の仲間なんです!
どうしてクモの仲間なのでしょうか?
19世紀の中頃から、多くの学者たちがこのことについて論争してきました・
しかし、現在では進化の過程や発生段階、
血清学的な比較によって、カブトガニがクモの仲間であることは疑いのない事実となっています。
カブトガニの血が世界を救う⁉
カブトガニの特徴として有名なものは、カブトガニの血液は青色をしています。
人間は、血液中に「ヘモグロビン」と呼ばれる血球があり、核の部分に「鉄」があります。
このヘモグロビンが、呼吸をして取り入れられた「酸素」を身体中に送る働きをしています。
しかし、カブトガニにはヘモグロビンがなく、「ヘモシアニン」という血球があります。
そして、その血球の核には「銅」が使われています。
この銅が酸化することにより、つまりさびることによって、青く見えるのです。
現在では、カブトガニの体内にある血液は、透明がかった乳白色のものとわかっています。
また、カブトガニの血球成分から作られた薬によって、エイズウイルスの繁殖が抑えられて、その活動が弱まるというすばらしい研究も進んでいます。
エイズウイルスは、「ヒト免疫不全ウイルス」と言われ、免疫力が低下して健康状態であれば問題になることはない病気に感染することもあり、最悪の場合死亡することもある病気です。
このエイズウイルスは、「不治の病」として知られています。
そんなエイズウイルスを抑えることができるようになると、不治の病が1つなくなるということです。
動くカブトガニが見れる水族館~海響館~
この珍しい生物、「カブトガニ」が動いている姿を
実際に見れる場所があります。
JR下関駅からバスで約7分の海沿いにあります。
すぐ近くに唐戸市場や赤間神宮などの観光地があり、
下関市の観光名所が集まっている場所です。
海響館は、「フグ」の展示数が日本一。
下関市の鳥である「ペンギン」を世界最大級のペンギンプールで展示してあります。
ペンギンのヒナを見ることもできます。
ぜひ行ってみてください!
参考資料
四国水族館