防御力最強の昆虫~カイガラムシ~

冬の間によく目にするカイガラムシ


ほぼすべての植物の害虫で、植物の茎や葉、果実、ときには根にまで取りついて、
樹液や果汁を吸いまくります。

さらには、カイガラムシの排泄物にすす病菌がつき、すす病になってしまうと、
果実や葉が真っ黒になってしまい、商品価値がなくなったり、
植物の光合成を阻害してしまいます。

カイガラムシは、カメムシ目カイガラムシ上科に含まれ、

日本に約12科400種が発見されています。

カイガラムシはもともと熱帯地方の昆虫ですが、
現在では北極と南極を除く地球上のすべての地域に存在しています

 

 

厄介な理由

カイガラムシが厄介な理由は、その防除の難しさにあります。
代表的なカイガラムシであるマルカイガラムシ科のカイガラムシは、
脱皮殻と排泄物(分泌物)とで体を覆って樹脂様のカイガラに変え、
自らの住まいとします。

このカイガラを身にまとっているカイガラムシは、
殺虫剤で殺すことがとても難しいです

また、単為生殖ができる種もいますし、
メスの下部から幼虫がふ化幼虫が大量に現れます。
放置すると短期間で植物がカイガラムシで覆いつくされます。

 

防除する時期

前述の通り、カイガラムシはカイガラを被ってしまうと殺すのが難しいです。
なので、まだカイガラを被っていない幼虫がなによりもねらい目なのです!
しかもできれば、ふ化直後がいいです!

カイガラムシふ化時期はだいたい春先から初夏です
これからの時期がカイガラムシ防除の重要な時期なのです!

カイガラムシのふ化の時期は種類によって違うので、
以下の本を参考にしてください!

カイガラムシ―おもしろ生態とかしこい防ぎ方

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今回の参考文献

 

 カイガラムシに効く殺虫剤

カイガラムシに効く殺虫剤には、有機リン系カーバメート系、ネオニコチノイド系、
IGL剤、マシン油乳剤などがあります。

また、殺菌剤ですが、石灰硫黄合剤もカイガラムシに効果があります。

しかし、これら殺虫剤を多量に使用すると、カイガラムシ以外の昆虫などに
影響を与えるので、さまざまな防除方法を組み合わせて防除するのがいいです

住友化学園芸 殺虫剤 カイガラムシエアゾール 480ml

カダン カイガラ虫用 殺虫スプレー K 450ml

キング園芸 マシン油乳剤 500ml

 

カイガラムシを抑える有効な方法

  • コモ巻き
    カイガラムシは越冬するときに木のすき間など
    狭く暗いところに集まる習性があります。
    この習性を利用して、コモや米袋、肥料の空き袋などを
    秋に太枝に巻き付けておきます。
    すると、春ごろにはカイガラムシの幼虫や卵がコモの中に集まります。
    コモは焼却します。
    この方法は、昔から行われている方法で、ハダニも一緒に殺すことができます。
  • 粘着トラップ
    木に粘着トラップを設置して、カイガラムシの幼虫が捕獲されれば、
    殺虫剤をまくという方法です。
    前述の通り、カイガラムシは幼虫を狙うのが防除のコツです。
    しかし、カイガラムシの幼虫が出てくる時期を狙い撃ちするのは、
    かなり大変です。
    粘着トラップを設置して、毎日トラップを交換していれば、
    1日以内にふ化した幼虫の数がわかるので、
    最盛期が予測できるという方法です。
    粘着トラップは、市販のものもありますし、
    両面テープを使って自作することも可能です。

    アリスタライフサイエンス 高性能粘着トラップ ホリバー黄色 10枚入

カイガラムシの天敵

カイガラムシの天敵は、規制バチの仲間が知られています。
例えば、クワコナガイガラムシに対しては、
クワコナカイガラヤドリコバチがいます。
これは、かつて生物農薬として登録されていましたが、
販売中止してしまいました。

また、カンキツの害虫であるイセリアカイガラムシに対しては、
べダリアテントウムシが有名です。
ほかにも、カイガラムシには天敵が多くいます。

 

カイガラムシは、かなり厄介な害虫ですが、
さまざまな防除方法を組み合わせれば、
防除可能な害虫です。
しっかり対策しましょう!

 

参考文献

今回参考にしたのは、「カイガラムシ」(農文協
という本です。

カイガラムシの生態や防除方法など、かなり詳しく書かれているので、
果樹や茶を栽培するときは、ぜひ持っていたい本です。

カイガラムシ―おもしろ生態とかしこい防ぎ方

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カイガラムシ農文協